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ゆめかわ日記

下ネタから学ぶ日本のネットミームの特性

この日記は某SNSで企画された下ネタの国アドベントカレンダー7日目の記事です。 下ネタの国なので、題材は下ネタ...というわけではなく、下ネタに関わる情報に関係がなくとも、そこを購読している人であれば気軽に投稿できる場所です。 心当たりがある方は是非ご参加ください。 現段階で参加者は5人という事で、一か月もあるのに少なすぎですね。ふるってご参加ください、主催者が泣いてしまいますよ!

前置きはさておき、トップバッターである以上、コンプライアンスのセーフゾーンとアウトゾーンのギリギリを攻める超低空飛行で物を書かなければならないことは僕自身自負しております。

どのような方が読んでも不快にならないように配慮して記載しますが、淫夢や下ネタにアレルギー反応がある方は申し訳ないんですけどこちらの方で読み進めるのを中断して頂きます。お手数をお掛けします。

さて、皆さんはインターネット独自の文化大好きですよね? 面白フラッシュ倉庫やニコニコを見て育ってきた世代なら猶更でしょう。

Youtube等に転載されている「懐かしの映像」みたいなのって色々あると思うんですけど、大半がもすかう、とかマイアヒ、何か楽しくなる映像、みたいな平和な映像が多いですよね。

じゃあ、2000年代ってそんな平和でユートピアの世界だったの?と聞かれると?

ち~が~う~だ~ろ~! ちがうだろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

訳:必ずしもそうではありませんでした。

むしろ一部の情報通かコアなネットオタクしかパソコンを扱えなかったので殺伐としていました。それよりもむしろ、日本のインターネット文化の一部はは下ネタとともに育まれてきたといっても過言ではありません。

要するに下ネタは世界を巣食うんですよ。 いや、救う。

今回は下ネタミームを歴史を基に振り返っていきましょう。

2000年代の下ネタミーム

ぎり紹介できる範囲で言うと「ちゆ12歳」が結構攻めた話題を話されている一例だったと思います。

web.archive.org

2001年のアーカイブだと文字コードの影響で文字化けしています。 このサイトは現在も運営されているので、そこからどんな記事が書かれていたのか読んでみましょう。

好青年が自慰に耽る謎の漫画の存在

tiyu.to

30年前のエロ本と称されたこのページ、投稿が20年前なので今はもう50年前のエロ本になります。内容に関してちゆさんの冗談を交えてユーモラスに語られています。

中でも、ある青年が自慰行為に目覚めてしまい、寝食も忘れ淫乱に耽ってしまうという漫画の紹介シーンにおいては、自慰行為をD-51という当時一般に運航していた汽車に例えてしまうという時代背景を示唆する文学的なセンスも見事に触れており、非常に漫画史的にも有意義な解説をなさってると思います。

それにしても、芋顔の野球部系の青年が、冴羽亮が牧村の死を受け止めた時と同じぐらいの暗い表情で目に陰りを付けて

「せんずりさ。」

とつぶやいているシーンは、何度も思い出してネタに使いたくなりますね。

tiyu.to

他にも少女漫画の純情な逆レ〇プとか

tiyu.to

刃牙と電影少女の比較とか、

比較的広く通常に出版されたエロ要素を有するコンテンツを、冷静な目で批判しつつ面白おかしく紹介するテイストが人気を博し、兄弟コンテンツが色々な場所に散らばっていました。

掘ってるのに掘り返される男同士の愛

一方で掲示板のほうも活発に活動を始めており既にスケベコンテンツを文字列を介して情報交換するといった高度な技を駆使していました。アングラ界隈ではファイル共有ソフトを悪用したりして、ダビングしたアダルトコンテンツや成人向けゲームが流布するなどの混沌具合を見せ始めます。

その中でも過去に出版、公開された下ネタコンテンツをネタにする動きも盛んになってきました。ネタにされた対象は昨今のコンプライアンスに配慮して言うなら所謂「やらないか」です。

2002年から2004年ぐらいにかけて各掲示板で「やらないか」な人々について言及され始め、ポルノムービーに有名なスカウト選手が出ている、ある漫画やビデオで「やらないか」同士のとんでもない愛のぶつけ合いがある等、「やらないか」の純情な愛をネタにする投稿が掘り返されてしまう珍事が発生します。

その中でも漫画家山川純一さんが80年代に書いた純愛漫画「くそみそテクニック」は、純情な青年同士が、現実世界だとありえないだろうシチュエーションで交尾を行うシーンが非常にアバンギャルドなので、瞬く間に話題になりました。

ほんへ資料です。そこそこ刺激が強いので迂闊にみると目覚めます。

yaranaika.orz.ne.jp

ここで注目すべきポイントは、原作のアバンギャルドな内容ではなくあまりにも話題になりすぎた下ネタのミームは下ネタという枠組みから外れ、コンテンツ「それ自体」として世間の人々の日常生活に溶け込み始めるという特性があるという点です。

例えば、くそみそテクニックの登場人物である阿部さんに関しては

https://prcm.jp/pic/original-image/id/ebrClwa?keyword=%E9%98%BF%E9%83%A8%E3%81%95%E3%82%93&page=13

(出典が明らかでないのでコラージュ画像の可能性もありますが)路上の落書きとして横断歩道に登場したり、

youtu.be

秋葉原のイベントに登場したりして話題になったりと、徐々にネットニュースなどを通じてメディアに広まっていきました。

これらを通じ、くそみそテクニックのコンテンツに関しては把握していないけど、阿部さんの名前や顔を知っている、「やらないか」という単語を知っている、という一般人が老若男女問わず徐々に登場し始めます。

この「元ネタは知らないけどそれ、知ってる」という一般人の層は侮れません。これらの方は下ネタのネットミームを「健全なネットミーム」に昇華させる能力を有しているので、通常のルートで行くとコンプライアンスで封じられてしまうが、物凄く面白いと思うネタをいい感じにコンパイルすることによって、「そういうコンテンツ」という形で誰からも認められるコンテンツに変容させる事が出来ます。

その効果もあってか、くそみそテクニックは40年の時を経てアニメ化されます。

game.watch.impress.co.jp

しかも全年齢版という形で独自の解釈を成し遂げました。

元ネタを知っているファンも、下ネタの部分は知らないけど阿部さんは好きという人間も両方が得をする形になったのは、下ネタとして出てきたネットミームが一般の層に流布して文化的に変容を遂げた成果とも言えるでしょう。

2010年代の下ネタミーム

ここからは皆様がご存じであろう淫夢に関する話題が急上昇し始めます。

2007年からニコニコ動画の発展に伴って、淫夢(男性向けアダルトコンテンツを基にしたコメディの総省)シリーズが展開されます。

2007年1月9日01時17分08秒に初めての淫夢動画が投稿されたのを皮切りに、あまりにもセンセーショナルながらもコミカルなポルノムービーのストーリー編成、役者の迫真の演技とキャラクター性が爆発的なヒットを生み出します。

ここから、次々にビデオの無断転載、一部転載という形で淫夢シリーズとなる男性向けポルノコンテンツが公開され始め、ボーカロイドや踊ってみたとは表裏一体の部分で文明が形成され始めました。

淫夢の二次創作概念の誕生、運営やコンプラとの攻防

2012年頃からは既存の動画を擦り続ける事に限界を感じ、原作動画の発掘が考古学的要素になってくる反面、BBやGBといった動画や画像からパーツを切り抜き、素材として切り分けることによって独自の淫夢動画の制作をすることに勤しむ方が増えます。

二次創作であるため、既存のストーリーとは全く異なる世界観を作出する一方で、原作の人物像や相関関係には忠実になる事によって、男優の本来の姿を意識しつつも、一方でそれとは離れた自分や暗黙の淫夢コミュニティで望ましいと思われる理想の人物像を基に独自のキャラクター付けを行っていきます。

特にニコニコ動画はポルノムービーが出自であるというコンテンツを排除すべく一斉に淫夢に関係する動画を厳格に審査した経緯もあり、アウトゾーンとセーフゾーンのせめぎあいが各地で行われます。

運営側から消されないためには、全面的に世界観が受容されるベースラインが必要であるという示し合わせが製作者界隈で形成され、淫夢本家で登場する卑猥な部分をなるべくカットしつつも本質は見失わないテイストへと創作方針を切り替えていきます。

例えば、

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音割れというコンテンツに全振りを行ったり

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先輩の隙を突いたり

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GoogleChromeを彷彿とさせるような現代アート帳に仕立て上げたりと表現方法が様々になってきます。

これらの映像は淫夢を普段摂取している人間でなくても刺激的すぎる事が無く、運営側も消去する明白な理由が存在しないので摂政という形で受容されて行きます。

結果的に、淫夢初投稿からニコニコ利用者増加、運営者の指針の影響を受け、二次創作として下ネタコンテンツが昇華され、淫夢としての本質は残しつつもコンプライアンスや一部の人にしか見せられない側面に関しては上手く遮断し、独自のネットミームとしての文化を確立することになりました。

良いのか悪いのかは解釈次第ですが、淫夢は現在国境を超えています。

特に中国や北欧圏で人気を博しており、

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日本の淫夢やミーム事情をまとめたプレゼンテーション、論文発表が行われ、日本文化の一つとして紹介されたほか、

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コミュニケーションの一つとして友好関係を結ぶ端緒になる等の広がりを見せています。

2015年 下ネタ文学評論全盛期

ニコニコ動画で取り上げられているドカちゃんさんや拓也さんが1998年から2011年にかけて個人ブログや掲示板で文章を書いていたことががこの辺りで話題になります。

ブログコンテンツはもっぱら旅行に行った、飯を食べた、こんな上司がいるといった汎用性の高い話題に偏りがちなのに対して、彼らの文章は他のブロガーの追随を許さないような独特の文学的センス、言い回しがあり、ネットユーザーを魅了します。

また、動画投稿やビデオ等によって映像が出回っていることから、本人のビジュアルが容易に浮かぶ点が功を奏した結果、アニメーションや漫画を基にした小説のような立ち位置を確立し、ライトノベルやエッセイのような性質を持つ新しい文学スタイルを提案する形になりました。

「クリスマス・イブは3日間くらいあるといいんだよね。だってさぁ、イヴの日とかに一人のオンナの子とかいっぱいいてかわいそうじゃん!」なんて言っていながら、オレにとっての本命くんがはたしてイブに呼んでくれるかどうかやっぱり気になる。本命クンは決して絶対に約束なんかしてくれない。だからオレはグレまくってウリなんかやっている。それに絶対決して「好きだ」なんて言ってくれない。単なる「ペット」として愛してくれているだけだ。 --生かさず殺さずのクリスマス(2008年)より

銀河のイルミネーションは見れなかったけれど、東京タワーの照明が消える瞬間が見える、はずだった!「あのさ、東京タワーの照明が24時に消える瞬間を見たカップルは幸せになれるんだってさ!」「知らねーよ、そんなの」23時58分に大きく見えた東京タワーがセンパイに無視され、戻ったときには消えていた。あーあ、オレたちはカップルじゃなくて、結局オレのことは「生かさず殺さず」のSのセンパイのペットなんだよなぁ。 --生かさず殺さずのクリスマス(2008年)より

拓也さんの文章は、実体験に脚色をする形で物語に強烈なインパクトを与える描写に非常に長けている点、拓也さん独自の口調を再現しているため、人物像の描写が鮮明な点で非常に文学的なセンスが高い文章が特徴です。

尚、この文章の特性が5年後の文化発展に強く貢献します。

これらの日記を合成音声に朗読させた動画が爆発的にヒットし、音声文学での淫夢というジャンルが確立されて行きます。

更に、人生経験が豊富だと面白い文章が書けるのではないかという推測の元、様々な素人のブログ等も読み進められ、大介やイサキのお兄ちゃんといったコンテンツが話題になっていきます。

久しぶりにお前の顔見たら やっぱ俺の気持ち 自分で良くわかった 嘘じゃないって --大介(2011年)

これらに始まるポエム文章は、キザで純粋な恋愛を切実に描写している点からも根強い愛読者を生み出し、ボーカロイドに歌唱させるなどのマッシュアップがなされたりした点で評価が高いです。

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ここで注目される点は2010年代から2015年代にかけて、オリジナルの映像から小説、音楽のマッシュアップといった二次創作へと淫夢や下ネタコンテンツの注目が推移している点です。

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同一のコンテンツを嗜む人口が増加した際に自分が特にここが好きという部分を見つけ出して、それを基に創作するという二次創作の所作が原作性よりオリジナリティを増した形で顕在しているという点で大変興味深いですね。

2020年 AI、ディープラーニング拓也

個人的には下ネタのネットミーム史の中で一番注目すべき点として、

ミームX技術の調和

という物凄く大きな進歩を遂げた部分があると思います。 2020年代からディープラーニングやニューラルネットワークを用いた学習が進歩し、人間の所作や文章の生成等を模倣したり、今までの学習させた知識を用いて新たな創造をする技術的ムーブメントが発生します。

ここで素材として使われたものの一つとして「拓也さんの日記」があります。 先述の通り拓也さんの文章は非常に独特の言い回しや表現技法を有しており、汎用な文章ではない点が特徴であることから、ディープラーニングによって文章を生成する素材に適していました。

事の発端はニコニコ動画で拓也さんの日記をポエムを読み上げる動画が話題だったのに対して、日記が枯渇してしまい、読み上げさせる内容が無くなったことからユーザーが各自で彼の文章を基に模倣創作を始めた点にあります。

初めは人間によって執筆されていたのですが、ディープラーニングによって文章を生成することによって、人間とは少し乖離した支離滅裂な文章を生成する事が出来、そういった部分が読み上げ動画でのお笑い要素につながる点でシナジー効果を創出しました。

これは本来ならば淘汰されていたAIの「人間らしくない」という部分がかえって文章に面白みを持たせたという点が考えられ、芸術や文化に限らず、技術的な部分でも新たな発見となるように見受けられます。

下ネタミーム→ネットミームの流れもAIバースのものが登場

AI拓也が登場して間もなく、非常に面白い流れが生まれました。

所謂「虹ピクミン」です。

虹ピクミンとは「AIに同人拓也のアイデアを考えてもらう」というニコニコ動画のある一部でAIが作成した文書が発端ですが、ネットミームとして広まったのはあるTwitterユーザーが絵文字でピクミンを作成し

「虹ピクミンは絶対に納税しない」

というコメントを添えたコンテンツが爆発的に人気になった事がきっかけです。 その投稿が拡散されたことによってネットミーム化けし、世間に広く存在が伝播されるようになりました。

AIが生み出した下ネタコンテンツが下ネタのネットミームになり、さらにネットミームに昇華したという稀有な事例だと思います。

AI拓也を皮切りに、技術の力で下ネタミームを改良していく流れは今後もトレンドになるでしょう。例えば、2023年現在では合成音声を使い拓也ボイスのボイスチェンジャーを作成したり、対話形式で怪文書を作成する流れがトレンドになっています。

今後の動向も期待ですね。

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現在下ネタミームが抱える問題

下ネタミームは時代を通してみると、あるコンテンツが面白いという事が紹介され、それを基に独自解釈や創作活動、マッシュアップなどが行われ、その成果物が一般のネットユーザーに受容される形で広まっています。

要するに出自となる「オリジナルコンテンツ」が存在するわけです。

オリジナルコンテンツは先に挙げたように漫画や映像作品、ブログやポエムといった著作権や肖像権によって保護されるべきコンテンツです。 また、人格権の部分も看過できない側面があります。

ポルノビデオや青年向け漫画は本来ならばそのような趣味やイデオロギーを持った方が有意義に楽しむために作られたものであるため、ネタとして扱われることを想定していないことが多いです。

そのため、本来の趣旨と乖離してネタを捜索する行為が本人の名誉や人格を否定することにつながってしまうという危険性も有しております。

しかしながら、共通のコンテンツを面白しろくしようと思う創作文化は非常に素敵です。 原作者の本位や人格を否定することなく、下ネタでミームを作ることは難しい事ではありますが現代においては不可能なことではないと思います。

下ネタミームの今後

AI拓也に始まるディープラーニング技術の進歩から考慮するに、現在の技術では既にメタバースなキャラクターの生成といった事が技術的に可能になっています。

架空でありながら現実的な存在を想像できれば、原始的な被害を減らし現状の課題を解決しながら下ネタの創作活動が出来る事は非常に強いプッシュになると思います。

まとめ

今回は下ネタのネットミームの側面から日本のネットミームへの影響や特性を検討してみました。

二次創作が盛んな国という事もあり、各世代で原作→二次創作、評論→一般ミーム化といった流れが採られることが多いことが発見され、まとめていて非常に面白かったです。

これはあくまで僕目線の考察であり、実際の歴史と比較すると誤りや不足する部分がありますので、興味の湧いた方は是非色々なまとめ文書や文献に目を通してみてください。

個人的には下ネタのミームは侮れないものだと思っています。

下ネタを通じて豊かな創作活動を産み、そこからさらに一般的にも使えるような素材へと変容させていく行為は文化創造に相応するものです。

嗜む人も嗜まない人も、それぞれが快適に利用できるように今後も模索されることを祈ります。

参考資料

wiki.yjsnpi.nu

体系的に淫夢の歴史や背景が知れるナレッジベースです。正確な情報であるかは保証できませんが、出典や経緯など、細かな説明がなされています。

dic.nicovideo.jp

虹ピクミンに関する出典

当ブログの投稿内容において、具体的な根拠や出典を明示していない限り、根拠や出典の存在を一切保証しません。また、根拠や出典が明示されているか否かにかかわらず、根拠や出典の妥当性・真実性を保証しません。

尚、実際の人物や団体に影響が出ないようにある程度抽象化したり脚色したりすることもあります。ここに出てくる登場人物や出来事は全て夢の中で起こっているようなものという感覚で読んでいただけると幸いです。